ILS TOP100企業
2017年10月23-25日虎ノ門ヒルズで行われた第5回イノベーションリーダーズサミット(ILS2017)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」を紹介します。

最新技術への探究心を忘れないスタートアップが
高い技術力で開発したAI対話システム「minarai」

ILS TOP100

執筆者: 本多 小百合 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

チャットボットやロボット、機器操作など、
幅広いシーンで利用できる“need to have”なシステム 事業や製品・サービスの紹介

photo1.jpg 店頭での接客や受付をロボットが行う・・・。機械に言葉で指示を出す・・・。株式会社Nextremerは、人工知能(AI)技術を使ったさまざまなサービスの対話部分を担うシステム「minarai」を提供している。

AI対話システムが使われる分野は、モビリティ、省人無人店舗、チャットボットなど、どんどん広がっている。一例を挙げると、テレビ朝日が開催したあるイベントで、来場者と対話ができるマスコットキャラクター「AIゴーちゃん。」が登場、この対話を司る基幹システムにも「minarai」が採用された。

公共施設での施設・観光案内や高速道路のサービスエリア、マンション管理やホテルのフロントなど、ユーザーの発話をAIが理解し、自動で応答するシステムが活躍する場面は多い。「minarai」はそれら個々のシーンに応じて、柔軟にアレンジができるのが特徴だ。

ロボットやタブレット、スマートフォンやデジタルサイネージなど、さまざまなインターフェースでのテキスト対話や音声対話が可能。対話内容も、業界に特化したシナリオを用意しており、幅広い話題に対応する。人間同士の会話のパターンを学習させることができるため、使うほど対応できる領域が広がるのもポイントだ。

人間の複雑で曖昧な話し言葉も適切に理解する「minarai」の品質を支えているのは、高度な自然言語処理技術にある。上手く会話がつながらない場合に、オペレーターがフォローに入るなど、人にストレスを与えることなく、コミュニケーションがとれるよう、サービス全体に工夫が散りばめられている。

高い技術力でAI対話システム分野の
リーディングカンパニーに 対象市場と優位性

photo2.jpg 現在、同社が注力しているのはモビリティ分野。自動車メーカーと共同で、対話インターフェースの活用を積極的に進めている。

以前から自動車メーカーの受託研究をしていた経緯があり、「minarai」の研究開発に取り組み始めたのも受託研究がきっかけだったそうだ。その自動車メーカーとは古くから二人三脚で研究開発を進めており、現在も強い信頼関係が続いているという。

そんな信頼関係に加え、自動車メーカーが同社に期待を寄せるのは、なんといっても同社が有する最先端のテクノロジー。Nextremer代表の向井永浩氏は長く技術畑を歩んできた人物。社員にも優秀なエンジニアが多く、「人工知能研究開発エンジニア集団」を自任する技術オリエンテッド・カンパニーだ。そして常に、最新技術への探究心を忘れない。

スピード・先見力・技術力を競争優位性とするため、スタートアップ企業でありながら研究部門を持っている。しかも部門内に研究チームが複数あり、自主研究も盛んに行われている。オープンイノベーションにも積極的に取り組み、自動車メーカー以外の大手企業、大学などとの共同研究も多い。

もちろん、単なる研究機関ではないので、数々の研究成果は常にプロダクトにフィードバックされる。ビジネスとアカデミックの双方にバランスよくリソースを使い、便利な社会づくりに貢献する技術を世に送り出し続けているのだ。

エンジニアの流出危機が転機に。
2拠点をベースにスケールアップを加速 事業にかける思い

photo3.jpg 技術力の高さを誇る同社にとって、優秀なエンジニアは何ものにも代え難い財産だ。しかしある時、郷里の高知県に戻りたいと、退職を申し出た優秀なエンジニアがいた。「ここで彼がいなくなるのは痛手」と考えた向井氏は、高知にAIラボを開設することを決意。エンジニアは引き続き、同社の一員として生まれ故郷で働くことになった。

高知に拠点を設置したのち、予想外の展開が待っていた。AIラボに優秀な人材が集まってきたのだ。結果、地域を活性化したい行政や企業との連携もスタート。同社にとって、高知は重要な第2の拠点となっている。現在はAIラボのほか、対話システムのシナリオをつくる子会社も高知県内に設立。高知銀行からの出資も受けており、「まさにピンチをチャンスに変えた一件だった」と向井氏は振り返る。

東京と高知――総勢60名を越えるメンバーが一丸となって挑むのは、モビリティ分野における対話インターフェースのデファクトスタンダードの確立だ。世界中の自動車に、NextremerのAI対話システム「minarai」が標準装備される状態を本気で目指す。取材の終わりに、「詳細はまだ明かせないが、大きなプロジェクトが進んでいる」と教えてくれた向井氏。同社が発表するプレスリリースを期待して待ちたい。

株式会社Nextremer
代表者:向井 永浩 氏 設立:2012年10月
URL:http://www.nextremer.com/ スタッフ数:65名(子会社 株式会社 dataremerとの連結、インターン等を含む)
事業内容: AIを活用した対話システムの研究開発およびサービス提供・オープンイノベーション(他企業との共同開発/共同研究)
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
産業革新機構、三菱総合研究所、高知銀行(資金調達額は非公開)
ILS2017 大手企業との商談数: 7社

当記事の内容は 2018/1/18 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。