紙から電子へ、取引をパラダイムシフト!
ソーシャルプラットフォームが企業をつなぐ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 佐々木 正孝  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

「BtoBのFacebook」として期待。
新たな企業間取引のプラットフォーム

事業や製品・サービスの紹介

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個人間はメールやLINEなどによる連絡、情報交換が当たり前となったが、企業間では見積書や発注書、請求書など、膨大な文書を「紙」としてやり取りする商慣習が根強く残っている。政府も電子文書、電子取引を推奨しているが、紙をスキャナ保存する「電子化文書」の域にとどまっているのが現実だ。

ビジネス文書の電子化が世界的に進む中、「企業と企業をソーシャルネットワークで結ぶ」ことを目指して登場した商取引プラットフォーム――トレードシフト社が提供している「Tradeshift」である。サービスのキーワードは「BtoBのFacebook」。

個人間でLINE、Facebookによってコミュニケーションを取り合うように、企業間で日常の取引、文書を簡単にやり取りできるプラットフォームだ。190カ国150万社をネットし、企業のマッチングや文書、メッセージのやりとりが一つのプラットフォーム上で行える。

注文書・請求書などを交わす電子取引はトランザクション量に関わらず無料。基本的な機能を利用する中小企業はフリーで利用ができる。大企業向けに機能をカスタマイズした有償版のライセンスフィー、そしてプラットフォーム上でサードパーティが提供するアプリの課金によって収益を上げるというビジネスモデルだ。

アプリによる拡張性を備えて
会計をはじめ調達、フィンテックにも

対象市場と優位性

トレードシフト社はデンマーク生まれのベンチャーで、2010年にアメリカに進出。2014年に「トレードシフトジャパン」を設立し、Tradeshiftを日本でも展開し始めた。前述のとおり、現在の主要な顧客は190カ国で約150万社。ユニリーバ、ゼロックスといったグローバル企業から、日本では野村證券、近鉄エクスプレスなど大手に採用されており、さまざまな業界に広がりをみせている。

ペーパレスによる業務効率化をはじめ、入力工数の削減などによるスピードアップ、ヒューマンエラーによるミスの削減が期待できる。月1000通の請求書を電子化できれば、人件費その他のコストを年間約1370万円も圧縮できるという試算もある。

法人向けの会計分野では先行するクラウドサービスもあるが、Tradeshiftは会計機能にとどまらない。購買・調達や販売、口座開設の与信、情報交換などさまざまな取引、コミュニケーションをカバーする。

また、電子文書を送付したり、取引先とステータスを共有したりといったさまざまなアプリがサードパーティからリリースされている。請求書を弥生会計と連携させるなど、日本の中小企業にも寄り添ったサービスが、多彩なアプリによって実現できるのだ。

売掛の債権を電子化し、支払期日前に資金化できるサプライチェーンファイナンスなどの機能も実装し、フィンテックとの親和性も高まっている。企業間の信用を担保し、企業取引を活発化させるソリューションとして期待がかかるゆえんだ。

日本のビジネス慣習に風穴を開けたい!
働き方改革にも寄与する新事業として離陸

事業にかける思い

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同社代表の大久保紀章氏は、デジタルマーケティング、インターネットサービスの新規開発でキャリアを積んできた。2013年にTradeshiftの販売権を取得してトレードシフトジャパンを設立。ビジネスの電子化を推し進め、紙や印鑑、署名にとらわれるビジネス慣習に風穴を開けたい、と意気込む。

「日本社会は激しい変革を好みませんが、ファウンダーがTradeshiftを立ち上げたデンマークで電子政府化が進んでいるように、欧米ではもはや電子文書化の流れは止められません。請求書の社判にこだわるようでは、グローバルな流れに取り残されてしまうのではないでしょうか」

文書の電子化が進めば、請求書など紙書類のファイリング、承認回覧に伴う事務処理、データ入力などのマニュアル的な作業が削減できる。これは生産性の向上に直結するメリットだ。企業間取引のプラットフォームを目指しながら、Tradeshiftは働き方の変革を促すインフラになり得る。

「近年、日本でも生産性向上の機運が高まってきました。業務の効率化をはじめ、社内の情報共有やガバナンス強化にもTradeshiftが存在感を発揮していけたらと思います」

トレードシフトジャパン株式会社
代表者:大久保 紀章 氏 設立:2014年3月
URL:http://ja.tradeshift.com/ スタッフ数:10名(業務委託等含む)
事業内容:
日本企業に向けた『Tradeshift』サービスの提供。
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
合同会社RSPファンド6号を引受先とした第三者割当増資を実施。
ILS2017 大手企業との商談数:
6社

当記事の内容は 2018/2/27 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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